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目標

 当研究室では、生体機能の理解や制御のための、分子の創製やシステムの構築を目指しています。研究のゴールとして、開発した技術の社会実装を目指しています。

 

教育方針

 現在の技術開発では、一つの目的を達成するために、様々な技術を連携させていく必要があります。そこで活躍できる人材は、深い専門性と、幅広し知識を持った人材です。我々の研究室では、化学の知識と実行力だけでなく、生物学や医学、社会実装のための工学などの様々な分野の知識を必要とする研究課題を設定し、それを一人ひとりに担当してもらっています。担当する研究課題を責任をもって遂行することが、技術開発に必要とされる人材の育成につながると考えております。

研究課題

(1) 生物活性天然物およびその類縁(誘導)体の合成とその機能評価
(1-A) 自己非自己の認識に関わる糖質の合成と機能評価
(1-A-I) シアル酸含有糖鎖
(1-A-II) 病原性菌類表面糖鎖
(1-B) 機能性食品含機能性分子
(1-B-I) ポリフェノール類
(2) 環状ホウ素化合物を多機能プラットフォームとして利用する有機合成
(3) ユニバーサル放射性ハロゲン標識ユニットを活用するラジオセラノスティクスの開発
(3-A) ユニバーサル放射性ハロゲン標識ユニットの開発
(3-B) 自動合成装置の開発




(1) 生物活性天然物およびその類縁(誘導)体の合成とその機能評価
(1-A) 自己非自己の認識に関わる糖質の合成とその機能評価
 細胞の表面は多種多様な複合糖質は、しばしば、自己非自己の識別の指標として利用されることにより、免疫細胞の標的因子として働いています。そのため、そのため、これらの糖鎖は、免疫調整分子として、抗がん剤や、抗アレルギー剤また、抗菌剤としての機能が期待されている。当研究室では、主に、ヒトの自己マーカーとして機能しているシアル酸含有糖鎖や、免疫賦活作用や抑制作用をゆす売る病原性細菌に含まれる複合糖質に着目し、その合成法の開発と機能評価を進めております。
(1-A-I) シアル酸含有糖鎖
 シアル酸はカルボン酸を有する9単糖であり、糖鎖の非還元末端に存在し、糖鎖と生体分子との相互作用に重要な役割を果たしております。そのため、その効率的な合成法およびシアル酸と他の生体高分子の相互作用を制御できるケミカルプローブの開発が求められております。我々は、環状保護基による歪んだピラン環を有するシアル酸糖供与体が高い反応性と望む立体選択性を示すことを明らかにし、さらに、本手法を活用することにより複雑なガングリオシド糖鎖(GP1c)の合成を達成しております。さらに、化学合成したジシアル酸を有するアレンモノマーをニッケル触媒を用いて直接精密重合することによって合成した糖鎖ポリマーや、ジシアル酸を固定化したデキストランが、ジシアル酸認識受容体 (Siglec-7)に対し、高い親和性を有することを見出しております。

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(A-2) 病原性菌類表面糖鎖
 病原性真菌表面の糖鎖は、ヒトや動物の免疫システムよって認識され免疫を誘導することが知られています。また、非常に高い病原性を有する菌類は、逆に免疫を抑制する糖鎖が含まれていることが明らかになっています。これらの糖鎖の構造活性相関を解明し、適切な誘導体を供給することは、抗アレルギーや抗炎症作用を有する化合物の創出だけでなく、適切に免疫を活性化する抗がん剤のリード化合物として期待されています。これまでに、真菌表面に存在する免疫活性化作用を有する多糖βグルカンの部分構造や、結核菌表面のリポマンナンマンナンの部分構造および、免疫抑制作用を有する糖脂質(PGL)の誘導体の合成とその機能評価を行っております。

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(B) 機能性食品含機能性分子およびその誘導体の合成と機能評価
 食品とは、我々が自身の体内に取りこんでよいと決めた物質群の総称である。そのため、食品に含まれる成分の生体への影響を明らかにすることは、生体機構の解明だけでなく、健康増進のための基礎的理解を深めるためにも重要である。しかしながら、食品成分の多くは構造類似体の混合物であり、化合物各々の機能を明らかにすることは難しい。そこで、食品成分およびその類縁体の化学合成することにより、その機能解明および新規機能性分子の創成を目指している。
(B-I)ポリフェノール類
 エピガロカテンガレート(EGCG)は、緑茶に含まれるポリフェノールであり、様々な生物活性を有することを明らかにされている。当研究室では、EGCGの構造活性相関の解明および、EGCGを基盤とする機能性分子の創製を目指し、固相合成とマイクロフローリアクターを利用したメチル化カテキンライブラリーの合成および、エピクロロヒドリンをキラルプールとしてもちいる光学活性誘導体の合成法の開発を行いました。また、グルコースの立体異性体であるイドースを母骨格とする二官能性リンカーを開発し、EGCGの生物機能にあまり影響しないA環部に対する1段階修飾法を開発しました。

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(2) 環状ホウ素化合物を多機能プラットフォームとして利用する有機合成
 ホウ素化合物は、遷移金属触媒と組み回せることにより、様々なカップリング反応を可能にする。パラジウム触媒をもちいる鈴木宮浦反応は、機能性分子の合成にもっとも活用されている反応の一つである。当研究室では、環状ホウ素化合物のワンポット連続カップリング反応を利用した機能性分子の創製を検討している。すなわち、環状ボランを求電子剤とエンド開裂を伴いながらカップリング反応を進行させると、末端が修飾されたボリン酸を生成する。ボリン酸をさらに異なる求電子剤とカップリング反応させることにより、両末端が非対称に修飾された化合物を得ることができる。ボリン酸は、ボランよりも反応性が低いために、反応条件を適切に制御することにより、選択的かつ段階的に反応を進めることができます。本手法を活用することにより、PGL誘導体の合成を達成しております。

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(3)ユニバーサル放射性ハロゲン標識ユニットを活用するラジオセラノスティクスの開発
 セラノスティクス(Theranostics)とは、治療(Therapeutics)と診断(Diagonositics)の融合を表す言葉であり、診断と治療を同時に行う医療行為のことを指すします。ラジオセラノスティクス技術とは、性質の異なる放射性核種を利用して同一骨格の化合物で治療と診断を達成するための技術です。例えば、ハロゲン族第二周期の元素の放射性同位体である18Fは、陽電子放出核種の一つであり、高解像度の画像診断を可能にします。一方、ハロゲン族第六周期の元素の放射性同位体である211Atは、飛程が短いα線放出核種であり、副作用の少ない放射性療法を可能にすると考えられおります。当研究室では、これらすべての放射性ハロゲンを効率的に導入でき、かつ、生体内で安定な我々独自なニバーサル放射性ハロゲン標識ユニットを基軸とするラジオセラノスティクス技術と、その合成に適した自動合成装置の開発を、放射性物質を取扱可能な研究機関、企業や病院と協力しながら進めております。

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